■ 抄録・要旨
| 本研究では人工湖岸化が進んだ琵琶湖北湖東岸において、湖岸形状と泥質化の関係を明らかにした。2002年に行った北湖湖岸帯湖底泥質化実態調査のデータを用いて湖岸類型、湖岸勾配、湖底形状と底泥のシルトや有機物等の含有量を比較したところ、湖岸勾配の大きい地点においてシルトや有機物含有量が高まることを明らかにした。また、遠浅な湖岸においても谷地形を形成する勾配急変部より沖側で泥質がたまりやすい環境になっていることが示唆された。そこで、泥質地点である長命寺と砂質地点である愛知川において流向流速を連続測定したところ、平均流速や最大・最小流速に違いは見られなかったものの、砂質である愛知川では一方向の、泥質の長命寺では流向が頻繁に変化し水塊が停滞する傾向にあった。したがって、遠浅な湖岸形状では一方向の流れによってシルト等の微細粒子が沖に輸送されている可能性が示唆された。
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